※今回の記事は「新卒社員や入社したての若手が」「誰に質問したらいいかわからず」「途方に暮れている」という状況に対する解決策みたいなものを、と今年の春先に書いたメモをブラッシュアップしたものです。
「分かる人が誰なのか分からない」問題
「いや、俺は知らないよ。『分かる人』に聞いて」
先輩は目も合わせずにそう言うと、知らぬ顔して自分のモニタに向き直ってしまう。これは配属後まもない若手--特に私のような人見知りの若手にとっては、ハードルの高い指示である。
まず、そのPJT(プロジェクト)の中で「誰が」「何を」知っているのかがわからない。更に言えば、「誰が何を知っているのか」を「誰に」聞けばいいのかもわからない。
それでもただ突っ立っていては仕事にならないから、「わかる人」に突き当たるまで愚直に問い続けていくのだが、そうすると陥りがちなのが、
1.無限ループ
Aさん「私知らないな。Bさん知ってるんじゃない?」
Bさん「俺のタスクじゃないし…Cさん詳しそう」
Cさん「え、その領域ならAさんじゃない?」
…以下エンドレス、なパターン。
2.あの人は既に…
Aさん「私知らないな。Bさん知ってるんじゃない?」
Bさん「俺のタスクじゃないし…Cさん詳しそう」
Cさん「あーそれ作ったのDさんだね。先月退職した」
引き継ぎがないまま製作者・知ってる人が消えてるパターン。
上記のいずれかである。
救いはないんですか?
残念ながら、会社の先輩というのはそこまで新入りに優しくなかったりする(※もちろん、大いに人とPJTによる)。分からないことだらけで震えていようが、配属3日でいきなり新規イベントの企画書を書かされる無茶ぶりを受けていようが、平然と「俺が知ってることはお前も知ってて当たり前」みたいな要求を突きつけてくる。それはもしかしたら、先輩たちも同じように育ってきたからなのかもしれないけど。
そういう場面で、配属後一週間にも満たない若手が無茶振りされた時の対処法は……あるにはある、と私は考える。
それは、PJTの組織体制図を見ること。
プランナー、デザイナー、サウンド、アート、シナリオ、スクリプト、検証、エンジニア……など色々な職種の人が混在するチームの中には、職能ごとの小グループが描かれていることが多い。
注目すべきは各職能のリーダーが誰なのかという点だ。
アートチームならアートディレクターや進行管理、といった肩書きを持つ人が、リーダーとして組織図に書いてあるはずである。最悪書いていなければ「プロジェクトリーダー(PL)」か「プロジェクトマネージャー(PM)」として名前の書かれている人に、各セクションのリーダーは誰なのか聞きに行くのがいい(少なくともPLは大抵どの組織図にも記名がある)。
各セクションのリーダーが誰なのかが分かれば、新人にとって強い武器になりうるだろう。
何故セクションリーダーが誰か知るのが必要なの?
第一に、たらい回しにされる可能性がぐんと減る。
セクションリーダーはそのチーム内で該当の職能のメンバーを統括する役割を担っている。職能に関係する質問を携えていけば、適切な解を持つ人へ接続してくれる。
第二に、責任を持ってくれる。
セクションリーダーはその職能のメンバーを統括する程度には会社やチームから信頼され、能力を認められている存在である。例え仕様のわかる人が既に社内にいなかろうが、セクションリーダー自身が分からなかろうが、何もせずあなたを突き放すことはまずない。自分の束ねる職能チームとしての仕事を全うさせ(その一部に、あなたが持ってきた課題の解決も含まれる)、プロダクトを作り出すことがその人の仕事だからだ。
別に何も権力者におべっか使えと言っているわけではない。
貴方がたらい回しにされている状況が「俺には責任がないから」「私はよく分からないから」というチームメンバーの思いに端を発するのなら、それに対する打ち手の一つを提示したに過ぎない。
延々ぐるぐる同じところを回って仕事が進まないままでいるよりは、まずは組織図を見て、聞くべき人の目星をつける。淡々とした一つのタスクである。少しでも前に進むために、試してみる価値はあるように思う。
……それから。
何もかも分からない中、こうして記事を読んだりしてみて、分からないなりに頑張ろうとしてるあなたはとても偉い。
ほんとうによく頑張っていると思う。
応援してるよ。生きていこうね。
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