もののけとけもののけ

迷い走る人生 ほどほどにナイス

私、人事って仕事のこと何一つ理解してなかったなって。

心から「私のため」を思って、私のことを叱ってくれる大人に、出会ったことがなかった。

私に向けられる罵声は相手が持ってる何らかの恐れや都合により私を操作しようとする圧力でしかない上、その意図は相手に筒抜けであることに、怒る本人は気づいていない。そんなのばっかりだったということもあり、いつしか私は根本的に人間というものを、年上の大人というものを信頼できなくなっていた。

 

それでも、上司の「姉さん」が私に声を荒げたのは、決して姉さん自身のためではなかった。

私が社内で腐っていたところで姉さんにとっては大したダメージにはならない。それなのに姉さんは根気強く、かんしゃく玉の擬人化みたいな私の内省に付き合ってくれていたし、いろんな人との縁をつなげてくれたりおすすめの本を教えてくれたりしていた。

正直意味が分からなかった。なぜこの人は、赤の他人の私のためにここまでしてくれるのか。どうして、自分の都合を抜きにして、私自身と向き合ってくれるのかと。考えてもそれらしい理屈は思い浮かばなかったので、もしかしてこれが無条件の愛ってやつなんじゃないかなあ…なんて思った。「薫陶を受ける」っていまいちどういうことなのかよくわかってなかったけど、たぶんこういう事なんだと思う。

そう思ったら、なんだかこのまま腐っているのが嫌になって、何かしよう、何かしたいな、という気持ちが本当に久しぶりに湧き上がってきた。

 

そう思って、姉さんからもらったタスクを改めてみてみたら、私自身が「人事」という仕事についてなんにも知らないことに気づいてしまった。

 

***

 

東京都立中央図書館は、港区南麻布にある、約206万冊の蔵書を誇る国内でも最大級の公立図書館だ。

開館時間は、平日が午前10時〜午後9時、土・日・祝休日は午前10時〜午後5時30分と、平日の仕事帰りにも頑張れば一冊くらい読んで帰れそうなくらいには長く開けてくれている。

https://www.library.metro.tokyo.jp/

 

そこでひとまず、今の業務と関連しそうな内容でぱっと目に付いた「必要な知識・スキルからHRMまで 担当になったら知っておきたい「人事」の基本」「NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く」の二冊を読んでみることにした。

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2冊読み終わって、ため息をついた。

私は本当になにひとつ、自分が今している仕事について知らない上、これまで勉強しようとも思わなかったことを恥じた。

 

ビジョン・ミッション実現のために練られた事業戦略も、実行する人がいなければなし得ない。だから、固有の価値を社会に提供する存在であるところの企業が、その企業たりえるためには、人事の存在が絶対に必要なのだということを初めて、知った。

 

私はアリの目しか持ってなかった。
個々の人間に目がいきすぎてて、個々の人間に対するヘイトに振り回されて身動きが取れなくなってた。
だから当然、組織に目を向けるなんて発想がなかった。

 

ふざけんなと。
人事はそんなスケールの小さい仕事じゃねえんだと。
そういって頭ぶん殴られたみたいだった。
もっと偉大で、崇高な仕事をなしえるだけの場所にいさせてもらってるのに、お前は何を見とるんじゃと。
手持ち花火で執拗に地面を歩くアリを焼いてる場合じゃない。カラフルな打ち上げ花火をでっかく打って、夜空を明るくしてみせんかい。それができるだけのところに、今、幸運にもお前はいるんだぞ、ということに初めて気がついた。

 

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私は愚かだった。

 

もっとCEOの話を聞きたいと思った。
どんな世界を作りたいと思ってるのか、より鮮明に、自分の頭で理解したいと思った。
理解できたら、その実現のために練られたであろう採用チームの採用計画も聞きたいし、私個人としては忌み嫌っている、事業部で重宝されてるメンバーがその実現のために「どんな動きを期待されて重宝されているのか」も自分の頭で考えてみたいと思った。

 

何でもやってみたいと思った。
ノースキル新卒の私を採ってくれたばかりでなく、攻撃的な態度で周りを困らせる私にさっさと見切りをつけることもなく、ここまで席を用意してくれたのだから、私は会社や姉さんに恩を返す義務がある。

 

それに私は、間違いなく最初は、この会社のビジョンに惹かれて入ったのだ。

この会社が作り上げたい世界を、私も見てみたいなと思って、ワクワクしながら入社してきた。少なくとも、最初は確かにそうだった。

 

ごめんなさい。

真面目に向き合わずにやりたくないだのなんだの、自分の足で歩いたこともないのに走りたくないって駄々こねてる赤ちゃんと一緒だ。

 

もう少し、真剣に向き合って、頑張ってみる。

 

 

 

ちなみに「必要な知識・スキルからHRMまで 担当になったら知っておきたい「人事」の基本」の方は、サルでもわかる 人事の仕事」って感じでよかった 。
日本企業における人事、の説明なので最近のスタートアップとかうちの会社には合わない所も多いけど、概要めちゃ掴みやすかったので。

それでも給与計算とか労働基準法とかの項目は難しくて目が滑るので、ちゃんと自分で買ってじっくり読みたい!

 (ネトフリの方はまた別途レビュー記事書きます)